無題
前述
以下ブログは2021年9月14日に書かれたもので、正直公開できない文章だと下書きに眠っていたものです。乱文、長文失礼します。
ご無沙汰してます。
神山智洋メロメロ芸人です。
舞台発表から早4ヶ月、やっとこさ戯曲を読み終えたので公演を見る前に戯曲の印象を書き残しておきたいなぁと思いまして、久しぶりにブログを書いてみようとおもーい腰をあげた次第です。
(そもそもネットで本が手に入らなくて諦めて電子書籍買うまでに3ヶ月掛かっているのだが)
初めに弁解をさせて頂きますが、私は英語のプロでも、演劇のプロでも、まだ誰かの母親でもありません。!
中学時代に人より少し多く英語に触れていただけの女子大学生です。
戯曲『LUNGS』を読むにあたり、出産も結婚もまだまだ他人事だと、
拙い自分の人生観で読み進めていました。
するとまあ壁にぶち当たること打ち砕かれること。
恋人との会話、対立、
意見の違い、思想の違い
理想論と愛情と、ありのままの自分
遠くない未来に自分も自分の答えを出さなくてはいけないような問題ばかりで正直読み手として苦しむばかりでした。
そもそもこの登場人物2人が何を問題としているのか、どこですれ違っていて何を主張しているかを理解するだけでも難しいのに飲み込むにあたり自分はどう思っているのかまで考えようと頑張ったら一瞬でパンクするのは当然。
仕方ない。
でも、これが来月から舞台になってたくさんの若い人たちの考えとか行動のきっかけになったらすごいな、と
本気で自担のおかげで変わる人生が来てしまう。
否定や対する意見が悪とされがちな日本(人)社会で素直に意見を言える素直さであったり、普段から考えて生きることの重要性みたいなのは私なんかが思うよりきっと重くて大切なことなんだろう、
誰かと一緒になるって、親になるって、
実際問題何がそこまで大変なのかわかっていないこちらにこれでもかというほど生々しい会話でカップルの実情を突きつける
そういった意味でも稀有な戯曲でした。
加えて、現代戯曲の最高峰と言われるだけあって演劇的なこだわりがトンデモナイ。
物語に触れずとも、多少のネタバレを含むことになってしまうかもしれませんがこれについてはどうしても書いておきたい。
本の序盤にト書きとは言えない作者の怒涛の演出指示があるの、まじで初めてみた。
今まで触れ合ってきた戯曲は良くも悪くも大体物語が始まる前にちょっとした意図が書いてあったりなかったりして、登場人物がズラーーーっと書いてあって、第一場、どこどこ、みたいな…で、都度都度()内とかで役者に対する指示であったり演出方法が記されている、オーソドックスなもので。それとはかけ離れた文字通りノンストップの会話劇…しかも早口らしいじゃん…
それにキャラクターに役名がない、男と女であるという設定だけ。
趣味的に現代演劇にはなんとも疎いので、割とあることならほんとトンチンカンなことをつらつら書いてしまって申し訳ないです…
それにしても、セットも背景も小道具も衣装チェンジも幕間も何もないまま『言葉だけ』で時間が過ぎていく様を創造してしまうの、マクミラン氏とんでもなさすぎて役者の負荷も同様技量が試されているなあ、と感じます…
期待大…
先日ゲスト出演したラジオで、「関西でいう夫婦漫才」とかなんとか神山くん仰ってましたけど、多分それを信じていくといろいろ打ち砕かれる、と思う、
ヲタクとしての好意と期待と、
一人間としての困惑と混沌とに
同時に襲われるんじゃないか、とかなんとか思ってます…。
オセローに続き、いろんな面から揺らされることを、期待して覚悟しておきます。
最後に、
気に入った言葉のひとつに
「poety in translation is like taking a shower with a raincoat on.」
というものがありました。もともと日本語らしいのですが巡り巡って英語になった方と先に出会いまして、「翻訳された詩というのは、雨合羽を着てシャワーを浴びているような感じだね」みたいなニュアンスです。おそらく。
いいんですよこれも訳そうとしている時点でもう元のものではないので。
しかし、それでも、戯曲の台詞ひとつひとつは詩だと思うんです。
元の言葉と違う言葉で出来た詩で、同じ人間を演じる。
この詩の塊を2021年の日本で上演するのにいったいどんな言葉が使われるのだろうか。
うちの大学の教授曰く、日本で育つと無意識的に言霊信仰する習慣がつく、と、言葉に重きを置く日本人がどうこの戯曲を噛み砕いて翻訳するのか、純粋に楽しみです。
あとは単純に、自分が舞台をみてどう受け取るのか。
戯曲と演劇公演の印象が違うこと、しばしばどころか毎回そうなるのでいくら先回り予習の助侍(とは)しても結局舞台は舞台でいつも楽しい…
こんなご時世でも自分の足で劇場に行って生の演劇を浴びれること、嬉しくて楽しみなことこの上ないですね。
以上、先回り予習の助侍()でした。